日本人と貯蓄

日本人と貯蓄の関係を考える

日本人が貯蓄する理由

「日本人は貯蓄好き」と長い間言われてきました。その理由として、もともと日本人は農耕型の民族なので、災害や飢饉に備えて備蓄するという知恵を代々伝えられてきたから、などとも言われています。また、1990年代にいわゆるバブルの崩壊を目の当たりにし、実際に経験した人々は、改めて預金の大切さを認識し、この時期には投資よりも預金する人が増えたとも言われています。

明治になって郵便貯金が導入され、さらに政府は太平洋戦争の敗戦処理の為に貯蓄を大々的に奨励しました。国民の経済の安定と共に、政府が起こす事業などの財源として必要としたのです。こうして「貯蓄は美徳」という概念が国民に浸透したのでしょう。今でも私たちは「貯蓄は良いこと」とばくぜんと思い込んでいるのではないでしょうか。子供がお小遣いやお年玉を使わないで貯金したら、大抵ほめられますね。

しかし、私達が貯金する本当の理由とは何でしょうか。今さら政府に薦められたから、という人は少ないでしょうが、子供の学資のためや欲しいものを買うため、など目の前のはっきりした理由以外に、「将来何かあったら困るから」「何かの時の為に」と、目的はなくてもただ将来の「何か」に対する不安の為に「貯金しておかないと」と思う人が、非常に多いのではないでしょうか。

最近の日本人の貯蓄率はかなり低下し、消費大国と思われていたアメリカ人よりも低くなったようです。まして今や飛ぶ鳥を落とす勢いの中国は、貯蓄に対しても、将来に希望を持つ人が多く、いずれ車や家を購入したいためなど、具体的に前向きで積極的であるという感じです。その背景には、日本人の物事を楽観的というよりは悲観的に見がちな性向や、預金金利はずっと低いままですし、年金があるから老後の生活は大丈夫、とはとても言えず将来に希望を感じない人が多い、ということもあるようです。

バブル期には浮かれ過ぎの印象もありますが、消費も激しいと同時に貯蓄も今とは桁が違ったようですね。景気がいいということは、こういう事なのでしょう。政府は貯蓄率が急降下している今「貯蓄よりも投資を」と今更ながらに言い出しているようです。NISA(少額投資非課税制度)などはその例なのでしょうね。お金をプールできなかったら、国の財源確保も危うくなるからでしょう。どれだけの人がそれで気持ちが動かされるのでしょうか。