日本人と貯蓄

日本人と貯蓄の関係を考える

日本人が貯蓄好きって本当の事?

「日本人は貯蓄好き」といわれていますが、その反面「江戸っ子は宵越しの金はもたない」という古くからの言葉もありますね。どうも江戸時代には、少なくとも庶民にはコツコツ貯蓄するなどという人はいなかったようです。

日本人がはっきり「貯蓄」という概念を持ったのは、明治時代からのようです。海外から新しい制度や学問を盛んに取り入れていた明治維新の時代に、日本にも郵便制度が導入され、同時に郵便貯金の制度も取り入れられました。何しろ「宵越しの金はもたない」ことが粋とされていたのですから、はじめはなかなか定着しなかったようです。政府は、高い金利をつけたり、その土地の名士や地主などを郵便局長としたりして、なんとか貯金の概念を少しづつ広めていったようです。郵便貯金が増えれば政府の事業資金としても活用できます。太平洋戦争の戦後処理にも、政府は国民へ貯蓄を奨励して財源に充てました。

こうしてみると、結局日本人は自分からすすんで好んで貯蓄をしはじめたわけではなく、お上の言う事を聞いているうちに、何となく貯蓄することはいいことだと、刷り込まれたような気がします。こうして日本は世界でも貯蓄率の高い国になり、1970年代には20%もあったそうですが、その後貯蓄率はどんどん下降し、今では消費王国と思われていたアメリカにさえ抜かれているのが現状です。

アメリカ人は目的のためには生活を切り詰めてでも貯蓄をする、というデータもあるそうです。日本人は自ら選んで貯蓄好きになったわけでもなく、具体的な強い目的もないままに貯蓄をしていたので、頼りとする国の経済状態が悪くなると、もろにその影響を受けてしまうのかもしれません。

考えてみれば、学校でも「子供貯金」を行うなど、貯金はいいことだとは教えられましたが、貯金することの意味や、国の経済のことなど、お金に対する教育は大変少なかったと思います。今後は、小さいうちから自分たちが将来どう生きたいのかという、計画性や強い目的意識を持つための教育も必要なような気がします。